2010年5月14日金曜日

【小説】ヘタリア週末コンビ。その1

なんか気分的に書きたい気がしたんで書いてみた。
腐ってます

つうことで週末コンビいってみよー

※構成直ししてないので誤字脱字他あると思いますが温い目で。

心の荷物~サディクの場合~

意地悪をしてみたいと思った。
自分が思っていることをハッキリ言ってくれない彼は、いつも何か言いたそうなのに。
言ってくれない。
口数が少ない人だ。
それはわかっている。
声に出さないと・・・分からない・・・。
「菊さん。コレどこにしまいましょうか?」
本田菊、今日は彼の家に手伝いに来ている。
蔵などにある書物、やよく分からない古い物の片付けをするそうだ。
ムシボシ?よく分からないが、空気の入れ替えのようなものだろう。
彼は庭に敷物をひき、俺が運び出す物をなにやら分類しながら並べる
「本当にすいません。こんなことを手伝って頂いて。」
彼は本当に申し訳ない顔をして私の手の荷物を受け取った。
俺は、手が少し触れるだけで心が熱くなる。
「特に用事もないしね。それに、俺が居なかったらコレは無理でしょう??」
そう言って俺が見上げる先の蔵には、菊では梯子が必要な高さの棚に重そうな葛籠が乗っかっている。
「うっ・・・」
困った顔は嫌いではない。
いや、凄く好きだ。もっとイジメたくなる。
これがSっ気と言うもなのかとおもいつつ、菊の頭をポンポン撫でながら
「もっと頼ってくれていいんですよ。」
そう、言いながら踵を返す。
聞こえて無くてもいいと思い言ってみたが、彼の反応はない。
俺もまだまだなとおもい振り返ってみる。
菊は俺が頭を撫でたその状態でうつ向いている。
気に触ったのか?心にざわめきが走る。
俺は彼、菊さんが好きだ。
でも、俺は彼の気持ちは知らない。
手伝いに呼んでもらえるのだから友人程度のカテゴリに入れてくれると思う。
たぶん。
もちろん、菊さんの気持ちを聞くのが怖いのもある。
ただ、気持ちを伝えて自分を抑え切れなれなくなるのが怖い。
いつかは崩壊しそうだけれど・・・。
うつ向いている菊さんのもとへ何もなかったように、何も言わなかったかのように葛籠を持ち歩み寄る。
なんて声をかけよう。
「菊さん?具合悪いですか?」
どうずらしていいか、どう声をかけていいかわからず、傷つかない言葉を選んだ。
彼の言葉をもっと聞きたい
彼を・・・。
自分がこんなにも臆病で、小心者で、保守的で・・・
菊さんが好きなのだと自覚する。
なんか悔しい。
「いえ、大丈夫です」
そういってもまだ彼はうつむいたままでいる。
黒く綺麗な髪が顔を隠し、表情がわからない。
葛籠を適当な場所におき、菊さんの前にしゃがみ込む。
「もしかして、気に触りました?」
聞かないと気が済まなかった。
彼が言ってくれないなら聞くしか無い
もっとも、ノーと言えない彼だからちゃんとした答えがくるのか危ういが、表情には出る。
素直だから。
自分では思っていなくても、何気ない行動が気に触るということが有る。
今回の場合は去り際に言ったあの言葉だと思うが、気になる。
黒く綺麗な髪を手で押し分け、顔を覗き込む。
その瞬間、すごい勢いで手が払われる。
一瞬何が起きたのか分からない。
「え。」
思わず出た言葉だった。
「あっ・・・。」
手が空中にあるまま、菊さんの顔は戸惑、俺を見た・・・と思う。
俺は菊さんを直視出来なかった。
「すいません。」
ゆっくりと立ち、再び蔵へ行きそっと溜息をつく。
嫌だったのだろうか。
正直、凹んだとしかいい用がなかった。
顔を見ることができない。
「これは効くわ・・・。」
「あの、ごめんなさい・・・」
そんな謝られるとよけいに辛いな・・・。
「いや、いきなり近くに行った俺が悪いですよ、すいません」
こんなことしか言えない。
その後何も会話というものはなく、その日の作業は終わった。
「それじゃ、何かあったら呼んでください。」
できればしばらく会いたくない・・・と心は思っているが、精一杯の強がりで彼をみる。
この時の勇気は自分で褒めたいと思う。
「あ、ありがとうございました。」
「それじゃあ。」
そういって日本家屋の引き戸に手をかける。
戸を閉めたらダッシュしよう。
そしてやけ酒だ。
頭の中はそんな事で渦を巻いていた。
歩いた瞬間なにか引っかかってしまう。
そういえば玄関の脇には傘立てがあったなと思い出し、
一度止まりもう一度歩こうとする。
それでも進まない。
まだ菊さんは居るだろうから、こんな醜態を見せたなんてちょっと恥ずかしいなと思い、
記憶の中で傘があった場所へ視線を移す。
予想よりずっと離れた場所に傘立てはあった。
そういう状況に陥ると人間パニックになる。
え????
視線を落とすと俺の服を握る人がいた。
最後彼がいたはずの場所には誰もいない。
ということはやはり服を引っ張っているのは彼、菊さんだ。
「えええ??」
「・・・」
何を言ってるか聞こえない。
彼はなんとか、なんとか、何かを言おうとしている。
「あの、すいませんでした。その、びっくりして。」
うつむいたままだが、謝罪の言葉が聞こえる。
「え?何がですか?」
わかっているが聞いてみたかった。彼がどうしてあの行動をしたのか。
「具合が悪かったわけじゃないんです。その、あの、あの時頭を撫でられたのが・・・」
言葉ではなく、行動がまずかったか・・・
菊さんを見るとなぜか撫でたくなる。
綺麗な黒髪を触って、なでて、崩したくなる。
菊さんの身長が小さいと言うわけじゃないけれど、かわいくて、撫でたくなる。
そんな気持ちだから、つい撫でてしまった。
それが、まずかった
「あ、すいません、触られるのダメなんですね・・・・。」
やばい、致命的かもしれない。
人に触られるのが苦手という人も居る。
全く気付かなかった。
「いえ、違うんです。その、撫でられたのが・・う」
「う?」
「う、う、うれしくて。」
「????」
一瞬何を言われたのか分からない。
「その、サディクさんに・・・頭を撫でられたのが心地よくて」
その時菊さんが俺の顔を見た。
「私、すごい顔をしてて、その、恥ずかしくて、どうしていいかわからなかったんです。」
何を言われたのかわからなかった。
よくよく考え直してみる。
それは?
それは・・・
嫌じゃないってことか。
それが告白だと言うことに気づかないと言うのは、俺は天然なんだろうか。
「菊さん。」
「はい。」
照れくさそうに目をそらしていた菊さんは返事とともに俺に視線を戻す。
「どういう風の吹き回しですか?そんな事言うと付け上がりますよ?」
だめだ、どうしても意地悪がしたくなる。そして、そのまま・・・
「えっ!?」
驚いている顔も本当愛らしい。
抜けられないところまでハマったということだろう。
俺は完全に菊さんと向かい合い、頬に手を伸ばす
今度は両手で。
「でも、もう離せないかもしれない。」
しなやかな黒髪からふわりと惑わす香りがする。
「サディクさん・・・?」
俺の手には余るサイズの頬からそっと髪の毛に手を伸ばし、そっと俺自身が近づく。
逃げられはしなかった。
顔が直前まで来たとき菊さんは目を閉じた。
ほんの少しの時間なのに、今日の1日よりずっと長い気がした。


続くかもしれない。

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